ご挨拶
枯山水の「ほほえみ地蔵」

 

住職挨拶

平成11年6月29日の集中豪雨災害の時、私は愛媛県新居浜市の瑞応寺専門僧堂にて修行させていただいていました。
振り返れば、法戦式という重要な式の2日前、母からの「お寺が無くなってしまった」という1本の電話が、私と寳持寺の復興という大きな縁の始まりでした。
300年以上の間大切に守られ、また、私にとっては生まれてからいつも当たり前のように傍にあった寳持寺の、あまりにも変わり果てた姿を目の当たりにし愕然とした時のことは、まるで昨日のことのように思われます。
また当時85歳であった先代住職のあの後ろ姿は、今でも忘れられません…。
当初、檀家数の少ない当寺院の、これからの復興の厳しさ難しさは容易に想像できるものでありました。
あれから早いもので約17年(平成28年現在)の月日が経ち、本堂が再建され一歩ずつ復興に向け進んでいることは、檀信徒の皆様、両親家族、そして節々に支え導いてくださった諸老師様、また道友の皆様にはこの場をおかりして衷心より伏して御礼申し上げます。
ある老師の言葉で

「社会や、自分を取り巻く環境が問題なのではない!あなた自身がどうあるのかが問題なのだ!」
「得は迷い、損は悟り」
 また、自分自身に迷い挫けそうになったとき
「崇晴さん、坐禅をしておけば大丈夫!」

と、これらのお言葉には本当に救われ、今日における私の基軸にしております。
私たちは「ご縁」によって、こうして生かされているということは、お釈迦様の教えの基本中の基本であります。
そのご縁とは、自分にとってどのようなものであっても、取り替えのきかないものであると同時に、天地いっぱいの授かりものであります。
不肖ながら、配役いただいた当寺16世住職という縁において、紆余曲折はするでしょうが、これからも坐禅に照り返されながら、まっすぐに復興に勤めさせていただきます。

さて、寳持寺の歴史を鑑みてみますと、創建当初より、能美島全島の祈願所として、島内外すべての人々を信徒とし、宗派を超え信仰を寄せられてきたお寺です。
そして、全ての人々の心の平安を祈り願うということは、お釈迦様をはじめ、仏様、祖師様方の誓願の眼目とするところでございます。
これらのところは、「能美島全島祈願所 寳持寺」における創建以来の信条として、これからも大いに躍進して参る所存でございます。

  平成28年4月吉日

寳持寺現住職 山下 崇晴 合掌